たまたま道端で見つけた1円を見てふと思う。
日本には一億三千万ぐらいの人がいる。
成人だけに限っても一億人ぐらいはいる。
一人1円募金すれば全部で一億円以上。
まあ、こんなの机上の空論で終わってしまう話で実現可能性は極めて低いが計算上は可能。
一人3円出せれば全部で3億円以上になる。
心臓移植を待つ子どもを一人救える。
街中でたまあに街頭募金をやっているのを見かける。
でも出会うチャンスはとても少ない。
コンビニのレジ脇に募金箱が置いてある。
でも、何の募金なのかよく見る暇もなく忙しさにかまけてパスしてしまう。
誰でも、どこでも、簡単に、ちょっと積極的に募金できるしくみはできないだろうか。
日本の場合、寄付や募金の文化にはあまり馴染みがない。
そんな国でもネット募金が寄付・募金文化の普及に果たす役割は小さくはないと思う。
とにかくスマホの普及率は高いのだから。
ネット募金の利点の一つは、例えば、Tポイントのようなポイントでも募金ができる場合が多いということだ。
クレジットカードでの募金に比べるといろいろと簡単なところが良い。
セキュリティのことを考えると、クレジットカードをむやみやたらにインターネット上で使うことに抵抗を感じる人も多いだろう。
また、ポイントが使える利点としては、自分のようにお金を持っていない人でもたまたま溜まっているポイントで寄付が出来るということ。
それでも、実際やってみるといくつかのハードルが。
それは、「どれに募金をするのか決めるのは難しい(特に中身がわからない場合は)」ということと「募金の画面操作の面倒さ」だ。
離脱してしまう人も多いのだろう。
1.どれに募金をするのか決めるのは難しい(特に中身がわからない場合は)
例えば有名なYahoo!ネット募金を見てみると、心臓移植を待つ子どもを救うためのもの、殺処分される犬や猫を救うためのもの、震災復興に関するもの、子どもの貧困に関するもの、難民救援に関するものなどが並んでいる。
この他にもたくさんあるが、この日は全部で400件ぐらいあった。
とにかくいっぱいある。
世の中にはそれだけの問題があるってことだ。
お金持ちなら全部に募金できるのかもしれないけどね。
何か特別に興味を持っている分野がある人はどれにするのかすぐに決まるのだろう。
でも、自分のように特に決まった分野に興味があるわけではない場合は結構困る。
そうは言ってもそれなりに優先度は付けている。
動物より人間。
命にかかわらないものより命に関わるもの。
中身のよくわかりにくいものよりよくわかるもの。
しかし、そのような基準で絞ってもまだまだたくさん残る。
また、同じ問題でも複数の団体が寄付を募っていることもある。
例えば今年の8月ぐらいから、ミャンマーで起きたロヒンギャと呼ばれている人たちが難民になっている問題。
この問題に関する募金はテレビや街頭では全く見かけたことがないが、この日もYahoo募金ではいくつもの団体が募金を募っている。
そこで中身を読んで比べてみる。
どれにも、多くの人たちの命が危機にさらされていることが書かれている。
しかし、「そもそもロヒンギャの問題って一体何なの?」ということはあまり書かれていない。
一般人は何も予備知識を持っていないと仮定して募金を呼びかけて欲しいと思う。
難民って一体何なの?ってところから手短に説明してくれないとなぁ。
(ただのうっかりなのかもしれないが、総理大臣でさえ難民と移民の違いを理解していない?フシがあるぐらいなのだから。)
難民キャンプでの生活ってどんなふうだろうか?
ちょっと考えただけでも次のようなことが想像出来る。
それは、かなり多数(ロヒンギャのケースでは50万から60万人と言われている)の人たちが野宿をして何十年も生活することになるかもしれないということ。
彼らは着の身着のまま、命からがら逃げてきた。
だから生活していくための装備は持っていない。
水や食糧も持っていない。
生活していくための物資を調達するすべもない。
電気、上下水道、ガスなどのインフラはない。
医療機関もない。
だから、病気になれば回復できないことも多く、一度病気が蔓延すると全滅してしまう恐れもある。
食糧を生産することもできない。
難民キャンプへの攻撃もあるのだろうか。
途方にくれるような話だ。
一体どうやって解決すればよいのだろう。
この問題を解決するためには総額でいくら必要なんだろう。
各国政府による支援はどうなっているのだろうか。
どの国がどんな支援のためにいくら出すのだろうか。
そしてあといくら足りないのだろうか。
このようなことが気になったが、そういう情報って募金の説明にはほとんど書いてないんだよね。
こういう難民の問題は基本的に全面解決は難しい。
だったらその場合の落とし所は?と思う。
難民問題は根深い政治的な対立から起きるものだ。
だから、背景にいる各国の思惑が絡んで解決への合意ができることなんかほとんどない。(つまりこういう問題では政府はほとんど役に立たない。)
だから、「とにかく難民の命を守るためのとりあえずの落とし所」を設定するしかない。
その落とし所へ向かうとき、それぞれの支援団体の役割分担は?
それぞれの支援団体はその役割を実現するためにいくら必要?
これまでいくら集まってるのということが記載されていることは多いが、あといくら必要なんだろう?
せめてこれぐらいのことを書いておいてくれないとなぁと思う。
感情に訴える内容ばかりの記事ではどうも先に進めない。
具体的に誰が何をするためにいくら必要だってことを書いて欲しいと思う。
中身がわからないものには関わるのは難しいと感じる。
仕方がないので調べてみることにしよう。
一旦募金サイトから離脱した。
さて、戻って来れるかどうか。
中身を調べるためにネットで検索してみる。
概要がわかる記事をいくつか見つけた。
例えばNHKのウェブページ。
これを含めたいくつかの記事を読んでみて日本政府も含め各国政府の立ち位置も理解できた。
これは結構重要。
自分には選挙権があるのだから。
まあ、こんなふうにいろいろ検索して、この件の概要がわかるまで数十分とか一時間とかかな。(近しい人へ募金の話を振るにしてもまずこれだけの事前準備が必要だ。)
これでやっと募金サイトへ戻れる。
でもここでもうひと山あるのだった。
この日、募金サイトにはロヒンギャ支援を求めている団体が10あるのだ。
どれにする?
今日はひとつだけだ。
お金持ちじゃないんだから。
2.募金するときの画面操作って結構手間がかかる
例えばYahoo!ネット募金。
ここではクレジットカードかTポイントで募金が出来る。
クレジットカードで募金する場合、もちろんクレジットカードが必要。
Tポイントで募金する場合はTカードが必要。
そしてこの募金サイトはYahooが運営しているので、ここで募金するためにはYahoo IDも持っていなければならない。
あらかじめいろいろ準備が必要なわけだ。
これは仕方がない。
その準備ができた上で、ログイン操作、募金内容入力を行う。
この時なにやら注意事項が表示され同意を求められる。
慣れていない人は「よくわかんない!」となって離脱する人も多いのだろう。
その後カード情報入力や支払い手続きなどを経てやっと募金完了。
Yahoo募金の場合、Tポイントでの手続きはクレジットカードよりまあまあ簡単。
クレジットカードは扱いがめんどう(Yahoo!ウォレットというものに紐付けて使うようになっているようだ)。
ところで、普及できるかどうかまだよくわからないのだが、ビットコインのような仮想通貨はそのような煩わしさを解消する可能性を持っているのかもしれない。
これは分散管理型の仮想通貨で、原理的には「個人から個人への直接送金」が可能。
銀行やクレジットカード会社などを通す必要がない。
まあ、これはそのとおりなんだけど、実際にこれを実現しようとすると、個人個人のコンピュータに金融取引のための重たいソフトと重たい取引履歴のデータベースを入れなくてはならない。
これは現実的ではないので実際にはオンラインで使える取引所のような民間のサービスを使う場合がほとんどでしょう。
結局第三者が間に入る。
このようなことも含めて、いろいろな点で今はまだまだという感じ。
今はとてもじゃないけど買い物を初めとした様々な商取引には怖くて使えない。
最近の報道でも伝えられている通り、ビットコインはこの一年足らずで円に対する価値が10倍に上がってしまった。
こんなに価値変動が激しいと完全に投機専用だと思わざるを得ない。
ビットコインを投機の対象にしている人たちにはちょっと考えて欲しいけど無理だな。
機械音痴の人には送金の操作だってそんなに簡単ではなさそう。
まあ、どんな送金方法でもセキュリティと便利さはトレードオフの関係にあるから仕方がないのだが。
エンジニアの人たちの苦労は終わらない。
お金を渡すだけでよい街頭での募金と比べるとどうしても手続きは面倒だ。
「君は日本で暮らしているからこういう問題について疎いのかもしれないけど、難民問題ぐらい自分で調べればいいじゃない。今はインターネットでいくらでも検索できるんだから。」という人がいるかもしれない。
また「画面操作ぐらい面倒がらずにがんばれよ。」という人がいるかもしれない。
でも、多くの募金を集めるんだったらこういう考えは通用しない。
偶然通りかかった何も知識がない人でも、簡単に理解してもらえて賛同してもらえるほうがいいに決まってる。
今日初めてスマホを使い始めた機械に不慣れな人だって、簡単な操作で手続きできた方がいいに決まってる。
そして誰かにメールやsnsで募金の話を振る時、いろいろ自分で調べて改めて説明を書いて教えてあげるのは大変なのだ。
そんなことしなくても募金サイトの記事を見ればわかるようになっている方がいいに決まっている。
今のところこの件に関して自分にできることは残念ながらないけれど、とにかく、一箇所で簡単に中身が理解できて簡単に募金できるしくみが出来ればよいなあと思う。